生徒の卒業後の目的として「自立」という言葉をよく使います。
この言葉は、ずいぶん便利な言葉で、いろいろな場面で使われます。
が、実際はどんな意味なのか、つきつめて考えてみることは少ないように思います。
漢字の意味にとらわれ「自分一人で立つこと」「一人だけで生活できる力のこと」と考えがちですが、間違いだと思います。
なぜなら、特別支援学校高等部を卒業した人も、
そうでない学校を卒業した人も、
本当に「自分一人だけで生計を立て」「一人だけできちんと生活できる」人は数少ないからです。
自立とは、(親から離れて、他人の中で)「他人の力を上手に借りて生活していける」ことだと思います。
つまり、「自立している」「自立できる」とは、環境の整えられた学校生活から、まだまだバリアが多数存在する地域に出たときに、「そこで生活していく本人の力や周囲の支援の環境がある」ということなのです。
そのために、保護者や学校が前もってできることは、本人が親から離れても、上手に他人の手を借りて生きていくために、「本人の力」と「本人を中心とした周囲の支援ネットワークの力」を養っておいてあげることだと思います。
「進路支援(指導)」とは、卒業後の行き先を決めるだけでなく、地域での豊かな生活ができるよう下準備をしておくことなのです。
ここでは、そうした地域生活への移行(=自立)のために役立つ情報をお届けします。